「スザク」
「ん? なんかあった? ルルーシュ」
午後、まだ日は傾くには早い。
生徒会室には、ふたりしかいない。まだ授業中の時間だ、いつも個性派揃いの面々はまだ来ない。
ゆっくりとした時間は首を絞めるように、自分を追い詰める。
「――………」
名を呼んで、何を言おうとした?
笑顔を乗せて、何も言えない伝えれる事など選べない彼へ、何を?
「どうしたの、ルルーシュ?」
屈託のない顔で、彼は笑みを更に濃くして自分を見た。
何も告げられない自分の姿はさぞや怪訝だろう。
「――いや、なにもないんだ」
ゆっくりと呼気を吐き出して、ようやく告げれた言葉は無様だった。
不自然きわまりない。
だが、言えるはずもない。
なにも、なにも言える事は選べないのだ。
自分がゼロであること。彼が所属する組織へ憎しみを向けていること、そして彼がその存在を否定したこと。
なのに、彼が、好きなこと。
なにもかも。
「そう?」
彼が甘やかすように向けていた笑みが少しだけ陰ったように感じたのは、多分自分の後悔だ。