いつまで寝てるんだと様子を見に行けば、芝生に同化したようなゾロが横たわっている。
だがその目は見開かれていて、空を見ているようだった。
「おい?」
と声をかけてみる。
ちらりと視線だけを向けられ、ちょいちょいと指先だけで呼ばれる。
サンジは首を傾げながら、彼の元へ近づいて行った。
彼の見ているのはどの星か分からない。サンジに示そうともしない。
「何やってんだ?」
と問えば、太い腕がサンジの頭をぐいと引き寄せた。
そして、唇を重ねられる。
「お、おい…!」
一瞬の出来事に動揺する。
だがゾロは素知らぬ顔して、空を見上げ続けていた。
「あの星、黄色くて丸い。お前みたいだな」
見上げて、言っている星がどれなのか分かった。航路の基準にも使われる一等星だ。
あれに自分が似ていると言うのだろうか? 少しだけ笑って、サンジはゾロの隣に座る。
「なんでキスだったんだ?」
「なんとなく」
その答えがサンジは気に入った。
だから自分も「なんとなく」と言って、今度はこちらからキスをした。