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キスの日


 いつまで寝てるんだと様子を見に行けば、芝生に同化したようなゾロが横たわっている。
 だがその目は見開かれていて、空を見ているようだった。
「おい?」
 と声をかけてみる。
 ちらりと視線だけを向けられ、ちょいちょいと指先だけで呼ばれる。
 サンジは首を傾げながら、彼の元へ近づいて行った。
 彼の見ているのはどの星か分からない。サンジに示そうともしない。
「何やってんだ?」
 と問えば、太い腕がサンジの頭をぐいと引き寄せた。
 そして、唇を重ねられる。
「お、おい…!」
 一瞬の出来事に動揺する。
 だがゾロは素知らぬ顔して、空を見上げ続けていた。
「あの星、黄色くて丸い。お前みたいだな」
 見上げて、言っている星がどれなのか分かった。航路の基準にも使われる一等星だ。
 あれに自分が似ていると言うのだろうか? 少しだけ笑って、サンジはゾロの隣に座る。
「なんでキスだったんだ?」
「なんとなく」
 その答えがサンジは気に入った。
 だから自分も「なんとなく」と言って、今度はこちらからキスをした。
2011.5.24.
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